国内初のM&A保険で事業承継が拡大?
東京海上日動火災保険(以下「東京海上」)が、今年1月から国内企業同士のM&Aを対象とした保険(以下「国内M&A保険」)の販売を開始することを発表しました。
これまで海外企業の買収を対象とするM&A保険はありましたが、国内企業同士は初となるそうです。
日本経済を支える上でも中小企業の事業承継が喫緊の課題となっている中、保険の活用による事業承継の活性化が期待されます。
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中小企業の休廃業は増加傾向
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中小企業の休廃業件数は、2013年には34800件だったのに対し、2018年は46724件と、5年前より1万件以上増えています(東京商工リサーチ調べ)。
ご存じの方も多いと思いますが、国内企業数の99%が中小企業であり、その従業者は全体の約7割で、売上は約3割を占めています。
このまま中小企業の廃業に歯止めがかからなければ、地域における雇用や経済の縮小を招くと共に、価値ある技術も失われ、日本経済全体にも深刻な影響を及ぼす恐れがあります。
危機感から政府も対策を急いでおり、様々な支援策を打ち出していますが、後継者がいない場合の第三者承継にも力を入れており、そんな中、今回の国内M&A保険がリリースされた次第です。
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国内M&A保険の内容
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1月7日に発表された東京海上のプレスリリースによると、国内M&A保険の概要は以下の通りです。
・M&A取引においては、契約書に「表明保証」に関する条項が設けられ、売主が財務や法務等に関する開示事項に虚偽がないことを表明し、保証することが一般的。売主は、この表明保証に違反した場合には、買主が被る損害に対して金銭的な補償を行う義務を負う。
・表明保証は、買主と売主の交渉によりその内容が決定されるが、買主は広範囲な保証を希望する一方、売主は限定的な保証を希望する傾向があり、両者が満足する合意を得ることが難しい。
・この問題を解決する手段として、国内M&A保険を活用することが可能。売主の表明保証違反が生じたことにより買主が被る損害に対し、保険金が支払われる。
・表明保証違反による損害を保険に転嫁することにより、売主にとっては信用力の補完や当該案件からの早期のクリーンエグジット、買主にとっては買収提案の優位性向上や売主との良好な関係維持に役立てられる。
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気になる保険金と保険料は?
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日経新聞の情報によると、表明保証違反が起こった際の保険金は買収額の2割程度を目安に設定し、その保険料は2~3%前後になる見込みとのこと。原則見積りは無料で、買収額数億円規模の案件にも対応するそうです。
いかがでしたでしょうか。
東京海上では2023年度までに200案件での利用を目指すそうですが、保険料を買収コストの一部とみなすことがスタンダードになっていけば、損保他社にも同様の商品が拡がり、買収合意が円滑に進むことで第三者承継の活性化にもつながるのではないでしょうか。