マンション高値が続くワケ
「最近、マンションって高いよね~。戸建の方が安いんじゃないの?」といった
声を身近でお聞きになったことはありますか?
実際、新聞折り込みのチラシを見ていても、マンションって高いなと感じる方は、
意外と多いのではないでしょうか。
今回は、マンション価格の動向と高止まりの原因について触れてみたいと思いま
す。
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首都圏新築マンションは6089万円
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不動産経済研究所の調査によると、今年1~10月までの首都圏新築マンションの
平均価格は6089万円で過去最高に近づいている、との報道がありました。
最多価格帯ではなく、あくまで平均ですが、非常に高いなとの印象をお持ちでは
ないでしょうか?
一般的なサラリーマンの年収ではもはや手が出ない領域、と言っていいかと思い
ます。
では、全国のマンション価格推移はどうなっているのか?
国土交通省の不動産価格指数を調べてみたところ、2010年平均を100とした時に、
2018年8月で143.0、2019年8月で147.8と、対前年同月比で3.4%アップになって
おり、全国平均でもマンションの価格は上がり続けているようです。
ちなみに一方の戸建ですが、同じく全国の価格指数でみると、2018年8月で101.8、
2019年8月で100.9と、対前年同月比で0.9%マイナスになっており、マンション
と対照的な結果となっています。
個人的には戸建好きなので、「戸建もガンバレ!」という気持ちです。
※国土交通省「不動産価格指数(令和元年8月・第2四半期分)」
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東京23区内は今後も高値で推移か
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日本不動産研究所の発表によると、東京23区内の新築・標準タイプ(専有面積40~
80平米未満)のマンション価格は、2025年まで平米あたり100万円代後半から中
頃へとほぼ下がらず推移するとの予測で、今後も高値が続くとの見通しです。
今年4月に東京都不動産鑑定士協会が行った、不動産鑑定業者や仲介会社、賃貸
会社、開発業者らへのアンケート調査結果では、東京23区内のマンション価格は
1年後にはやや下がるとの見通しですが、こちらも大きくは下がらないとの見方
が強いです。
※日本不動産研究所「東京23区のマンション価格と賃料の中期予測/2019下期」
※東京都不動産鑑定士協会「東京都不動産価格等動向調査結果」
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なぜ高止まりが続くのか?
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高くなってしまったマンション。手の届く人がなかなかいないのに、なぜ高止ま
りが続くのでしょうか。
東京カンテイの調査によると、2018年に東京都で売り出されたマンションの価格
は、新築・中古ともに平均年収の10倍を超え、新築13.3倍、中古10.5倍だそうで
す。
ちなみに、京都、神奈川、沖縄でも、マンション新築物件は平均年収の10倍を超
えているとのことです。
価格が下がらない理由には、以下の3つの点が挙げられます。
1つ目は、立地の良い不動産の価格が高騰しミニバブル状態となっており、特に
駅近の物件はその傾向が強いこと。
2つ目は、上記に加え、インバウンドの影響で好立地の土地はマンション開発業
者と大手ホテルチェーンの奪い合いになり、その分がさらに販売価格に反映され
ていること。
3つ目は、体力のある大手にシェアが集中し、販売期間が長くなっても価格を高
く維持する傾向があること。
いかがでしたでしょうか。
実際、不動産鑑定士協会のデータベースを見てみると、駅近の物件で相場の1.5
~2倍で取引きされている事例があり、調べると某有名ホテルチェーンが建って
いたりします。
売切り型のマンションより、インバウンド需要で中長期的に収益をあげ、尚且つ
いざとなったら売却できるホテルの方が高く買えるのは、何となく感覚的にも分
かりますよね。