えっ!建物が建てられない?(用途地域編)

土地を購入する際に注意しなければならない事の一つに、その土地がどの用途地
域に指定されているか、という事があります。
市街化区域では必ず用途地域が定められますますが、指定された用途地域によっ
て建築物の用途制限が異なり、目的としていた用途の建物が建てられないなんて
ケースも。
では、用途地域の種類と用途制限の例を見ていきましょう。

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 13種類の用途地域と定義
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(※以下、都市計画法第9条より)

1. 第一種低層住居専用地域
 「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」
2. 第二種低層住居専用地域
 「主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」
3. 第一種中高層住居専用地域
 「中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」
4. 第二種中高層住居専用地域
 「主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」
5. 第一種住居地域
 「住居の環境を保護するため定める地域とする」
6. 第二種住居地域
 「主として住居の環境を保護するため定める地域」
7. 準住居地域
 「道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、
これと調和した住居の環境を保護するため定める地域」
8. 田園住居地域
 「農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の
環境を保護するため定める地域」
9. 近隣商業地域
 「近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商
業その他の業務の利便を増進するため定める地域」
10. 商業地域
 「主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」
11. 準工業地域
 「主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定め
る地域」
12. 工業地域
 「主として工業の利便を増進するため定める地域」
13. 工業専用地域
 「工業の利便を増進するため定める地域」

上記1~6の住居系地域に「一種」「二種」とありますが、二種には「主として」
との文言が頭に付き、一種に比べてやや制限が緩いことが何となく分かりますよ
ね。

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 建築物の用途制限の例
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用途地域による建築物の用途制限は、建築基準法(第48条/別表2)で定められ
ていますが、以下その例となります。

・第一種低層住居専用地域
「低層住宅に係る良好な住居の環境~」と謳っていますので、店舗やオフィス、
娯楽施設や工場は建てられません。ちなみに同じ低層住居でも「二種」になると、
小規模な日用品販売店舗や喫茶店、パン屋さん等が建てられるようになります。
また、同じ住居系でも上記1→7へと進むに連れ用途制限が緩くなっていきますが、
それぞれの地域の名称からもイメージできるかと思います。

・商業地域
ほとんどの用途の建物が建てられますが、危険性の大きい工場などは建てられま
せん。同じ商業地域でも「近隣商業地域」になると、ホテルや旅館は建てられず、
キャバレーなども建てられません。

・工業専用地域 
「工業の利便を増進~」とある通り工業利用優先の地域ですので、住宅は建てら
れず、店舗も飲食店など以外は建てられません。これが「準工業地域」になると、
ほとんどの用途の建物が建てられるようになります。

いかがだったでしょうか。
ちょっとした名称の違いでも、建てられる建築物の用途が大きく異なる場合もあ
ることがお分かりかと思います。
また、より細かい地区指定で用途制限が課されているケースもありますので、必
ず役所での確認が必要となります。

尚、市街調整区域は「市街化を抑制すべき区域」とされ、建物の新築・増改築自
体に厳しい制限があり、原則として用地地域も定められていません。